相続・贈与・財産分与・売買などで不動産を取得した際には、不動産の名義変更が必要です。
自分で名義変更を行うことも可能ですが、手続きが煩雑なので司法書士に依頼するのがおすすめです。
今回は、不動産の名義変更に必要な書類や、名義変更にかかる費用を解説いたします。
不動産の取得後にかかる税金についてもご説明しますので、ぜひ最後までお読みください。
不動産の名義変更が必要なとき
不動産の名義変更が必要なのは、主に次の4つの手続きをする場合です。
・相続
・贈与
・財産分与(離婚)
・売買
不動産の名義変更は、自治体の役所等でできるものではなく、法務局で行う必要があります。
法務局では登記簿で不動産と所有者を結びつけて管理しているため、法務局で所有権移転の登記申請を行うことにより、不動産の名義変更ができるのです。
この手続きは非常に煩雑なため、自分では行わず司法書士に依頼する場合が多くなっています。
不動産の名義変更は自分で手続きできる?
不動産の名義変更は、司法書士などの専門家にしかできないというわけではありません。
特に資格や知識はなくても、自分で手続きを行うことも可能です。
しかし、不動産の名義変更手続きには時間と労力がかかり、難易度も高いです。
やはり、司法書士に依頼するのがベターと言えるでしょう。
司法書士に依頼するメリットは、手続きを全て丸投げできること。必要書類のみ用意すれば、その他の書類作成や手続きは全て司法書士が行ってくれます。
また、専門知識があり、手続き自体にも慣れているため、間違いなく不動産の名義変更を完了することができるのもメリットです。
もちろん、司法書士の利用料金はかかりますが、数万円の出費で時間と労力を節約できます。
無理に自分で手続きをするよりは、司法書士への依頼がおすすめです。
不動産の名義変更に必要な書類
不動産の名義変更に必要な書類を、以下のそれぞれのケースについて解説していきます。
・相続
・贈与
・財産分与
・売買
相続の場合
相続で不動産の名義変更をする場合、「法定相続」の場合、「遺産分割協議書」がある場合、「遺言書」がある場合の3パターンで必要な書類が異なります。
法定相続の場合
法定相続通りに相続して不動産の名義変更をする場合、以下の書類が必要となります。
・被相続人の生まれた時から亡くなるまでの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍等
・相続する全員の住民票(本籍地の記載まで必要)
・被相続人の住民票の除票
・固定資産評価証明書(最新年度のもの)
遺産分割協議書がある場合
遺産分割協議を行って不動産の名義変更をする場合には、以下の書類が必要です。
・遺産分割協議書(相続人全員が実印を押印)
・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
・被相続人の生まれた時から亡くなるまでの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍等
・相続する全員の住民票(本籍地の記載まで必要)
・被相続人の住民票の除票
・固定資産評価証明書(最新年度のもの)
遺言書がある場合
最後に、遺言書がある場合で、第1順位の相続人に不動産を名義変更する場合には、以下の書類が必要です。
・遺言書(自筆証書遺言の場合は検認を受けたもの)
・被相続人の戸籍謄本(亡くなったことが記載されている除籍謄本)
・相続する方の戸籍謄本(被相続人との関係がわかるもの)
・相続する方の住民票(本籍地の記載まで必要)
・被相続人の住民票の除票
・固定資産評価証明書(最新年度のもの)
公正証書遺言の場合は、正本・謄本のどちらでも問題ありません。
自筆証書遺言の場合は、実際に相続や不動産の名義変更をする前に「検認(家庭裁判所で、遺言の内容を明確にする手続き)」が必要となります。
贈与の場合
贈与で不動産の名義変更をする場合、以下の書類が必要となります。
・贈与契約書
・登記識別情報通知(登記済権利証)
・譲り渡す方の印鑑証明書
・譲り受ける方の住民票
・固定資産評価証明書(最新年度のもの)
「贈与契約書」とは、役所などで発行できる証明書ではなく自分で作成するものです。
「誰が(譲り渡す人)・誰に(譲り受ける人)・いつ(贈与契約の年月日)・何を(対象不動産)・どうするのか(贈与する)」という5つを内容として記載します。
財産分与の場合
離婚などで財産分与に伴って不動産の名義変更をする場合、以下の書類が必要です。
・登記識別情報通知(登記済権利証)
・譲り渡す方の印鑑証明書
・譲り受ける方の住民票
・離婚の記載がある戸籍謄本
・固定資産評価証明書(最新年度のもの)
売買の場合
売買で不動産の名義変更を行う場合、以下の書類が必要です。
・売買契約書
・登記識別情報通知(登記済権利証)
・売主の印鑑証明書
・買主の住民票
・固定資産評価証明書(最新年度のもの)
代理人が手続きする場合は委任状が必要
不動産の名義変更手続きを、土地の持ち主や譲り受ける人以外が行う場合、委任状が必要です。
この委任状は、司法書士に依頼する場合にも必要となります。
不動産の名義変更にかかる税金はケースによって異なる
最後に、不動産の名義変更にかかる税金について解説していきます。
不動産の名義変更には、登録免許税が必ずかかります。
しかし、この登録免許税の額は、どのような理由で不動産の名義変更をするかによって異なります。
以下の項目で、登録免許税額の決め方や、その他不動産を入手したときにかかる税金についても詳しく見ていきましょう。
相続
相続で不動産の名義変更をした場合、登録免許税の計算式は以下の通りです。
・登録免許税=固定資産税評価×0.4%
相続税の基礎控除額の求め方は、以下の通りです。
・相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
贈与
贈与により不動産の名義変更をした場合、登録免許税は以下のように計算します。
・登録免許税=固定資産税評価額×2%
贈与をした場合贈与税がかかります。
贈与税の計算方法は、以下の通りとなります。
・贈与税=贈与財産価額−110万円(基礎控除)×10~55%(累進課税)
また不動産取得税として以下の金額がかかります。
・不動産取得税=土地の固定資産税評価額÷2×3%
建物の固定資産税評価額×3%(4%の場合もあります。)
財産分与
財産分与で不動産の名義変更をした場合、登録免許税は以下のように計算します。
・登録免許税=固定資産税評価額×2%
財産分与を原因とした移転登記をする場合は、離婚が成立した後となります。
不動産取得税に関しては、その財産分与が夫婦財産の清算を目的としておこなわれた清算的財産分与であれば不動産取得税は課されませんが、財産分与が慰謝料や離婚後の扶養を目的としたものである場合には不動産取得税が課税されることがあります。
売買
売買で不動産の名義変更をする場合、登録免許税は以下のように計算します。
・登録免許税=土地の固定資産税評価額×1.5%
建物の固定資産税評価額×2%
不動産取得税としては、以下の金額がかかります。
・不動産取得税=土地の固定資産税評価額÷2×3%
建物の固定資産税評価額×3%(4%の場合もあります。)
まとめ
不動産の名義変更は、法務局で行います。
手続きは自分で行うこともできますが、司法書士におまかせするのがおすすめです。
費用としては、司法書士への依頼費用の他に、登録免許税が必ずかかり、名義変更をする理由によって税金の額は異なります。
手続きに使用する書類も、名義変更をする理由によって異なるため、必要なものをしっかりチェックしておきましょう。