コラム

相続の相談はまず司法書士へ!税理士・弁護士との違いも解説

遺産相続の際、法律や税金の知識がないと、どのようにすればスムーズかつ費用を抑えて手続ができるのかなど、わからないことが多いですよね。

そんなときは法律や税の専門家に相続の相談をする必要がありますが、専門家であっても資格や専門分野ごとにできることや得意なことが違うので、必要な手続きに適した専門家を選ぶ必要があります。

相続の相談はまず「司法書士」へ!

相続の相談が必要になったら、まず司法書士に頼るのがおすすめです。

司法書士は専門的な法律知識を持ち、登記手続きや裁判所・法務局などに提出する書類作成を代行してくれます。
相続に必要な書類集めや、手続きの代行はほとんど司法書士に任せられます。

相続についてもめていたり相続税が発生したりする場合でなければ、司法書士に相談するのがベストでしょう。

遺産に不動産があれば司法書士に

なぜ司法書士に相談するのがベストかというと、相続財産には約半分のケースで不動産が含まれているため
司法書士は不動産登記に精通しているため、相続に伴って必要な不動産の相続登記(名義変更)をスムーズに行うことができます。

不動産の名義変更を行うのに、必ず司法書士資格がいるというわけではありませんが、手続きが煩雑なので司法書士に任せた方がベターです。
関係が複雑な不動産相続は、司法書士に相談しましょう。

司法書士が相続手続きでできること

司法書士が相続手続きでできることは、以下の通りです。

・不動産登記(名義変更)
・戸籍等必要書類の収集
・遺産分割協議書等必要書類の作成
・遺言書の作成
・相続放棄申述書の作成

司法書士にできることは、不動産の登記関係や相続・相続放棄に必要な書類の収集、作成です。
また、司法書士には生前に遺言の作成を依頼したり、遺言内容を実現させるための遺言執行者になることを依頼しておくこともできます。
被相続人の没後に相続人が司法書士を探すのではなく、生前にあらかじめ司法書士に依頼をしておくことで、遺産相続がよりスムーズになります。

裁判になる場合や、税に関する知識が必要といった場合は、以下でご説明する弁護士・税理士に相談することをおすすめします。
しかし、相続税がかからない場合や、相続人間で揉めていない場合は、司法書士がほぼ全ての手続きに対応できます。

相続トラブルの相談なら「弁護士」へ

遺産相続には様々な法知識が関わってくるため、法律の専門家である弁護士にもできることはもちろん多いです。
しかし、弁護士への報酬は司法書士より高くつく場合が多いです。

裁判・調停になりそうなら弁護士へ依頼しよう

弁護士に相談をした方がいいケースは、相続人同士の関係や遺言の内容が複雑で、トラブルに発展しそうな場合です。

法的な争いで戦えるのは本人か代理人弁護士のみで、司法書士には裁判・調停に関する相談や依頼をすることができません。
相続が平和に終わりそうになく、揉めそうな場合は弁護士に相談しましょう。

遺留分減殺の請求も弁護士へ

遺留分減殺請求を行う場合も、弁護士に相談します。
遺留分減殺請求とは、遺言などで自分への遺産が遺留分(最低限の遺産の取り分)より少なく配分されていて、異議を唱えたいときに行うものです。
例えば、兄弟のうち一人だけに遺産の大半が渡るように遺言がなされていて、それが故人への貢献度合いに見合わず納得できない、などのケースが挙げられます。

遺留分減殺請求のやり方は特に決まっていないので、必ずしも裁判に発展するというわけではありません。
全体的に、「自分の権利を主張して戦いたい場合」は弁護士に相談、と思っておくとよいでしょう。

相続税の相談なら「税理士」へ

次に、遺産相続にあたって相続税が発生する場合には、税の専門家である税理士に相談するのがおすすめです。

相続税が発生する時とは?

遺産を相続する=相続税を支払うと思っている方も多いですが、実は相続税が発生するケースはそう多くありません。

国税庁が公開しているデータによると、相続税を支払っているのは日本全体の平均で8%のみです。
なぜ相続税が発生するケースが少ないかというと、相続税には基礎控除といって非課税になる枠があり、しかもその枠が贈与税や所得税に比べてかなり大きいためです。

相続税の基礎控除額の求め方は、以下の通り。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

そのため、法定相続人の数と基礎控除額をまとめると以下のようになります。

法定相続人1人:3,600万円
法定相続人2人:4,200万円
法定相続人3人:4,800万円
法定相続人4人:5,400万円
法定相続人5人:6,000万円

上記の金額以内だと非課税となるため、相続税は相続財産の総額が上記の金額を超えた場合にのみ発生します。
ちなみに、現金や預金だけではなく、不動産・貴金属・書画骨董のような金銭的価値があるものは、全て相続税の課税対象となります。

節税なら相続税専門の税理士へ

相続税は生前贈与や保険の利用、不動産の購入などの対策を行うことで節税できる可能性があります。
相続税が発生しそうな場合は、生前から相続専門の税理士に相談しておくのがおすすめです。

相続税は課税金額も税率も大きいので、税理士に支払う費用を差し引いても節税額の方が大きいケースがあります。
税理士に相談すると、節税方法を教えてくれるだけではなく、役所への申請等もまとめて行ってくれます。

相続の書類に関する相談は「行政書士」に

最後に、法律や税に関する知識は必要ない・相続関係の書類作成のみ依頼したい場合は行政書士への相談がおすすめです。

行政書士ができること

行政書士は官公庁へ提出する書類の作成や、権利義務・事実証明に関する書類の作成、提出手続きなどを行えます。
相続関連で行政書士に依頼できることは、必要な書類の作成と提出のみです。

行政書士は申請や交渉はできない

相続関連では、行政書士は司法書士・弁護士・税理士に比べてできることが限られています。
ただしその分、行政書士に依頼する場合、費用は安く抑えることができます。

書類の作成のみ依頼できれば、あとは自分で手続きができる場合や、とにかく費用を抑えたい場合は行政書士に相談するのがおすすめです。
しかし、相続を原因とする不動産の名義変更登記を行いたい場合は、司法書士に依頼した方が良いでしょう。

相続相談を「銀行・保険会社」にするのはどう?

銀行保険会社では、相続の相談を受け付けているところもあります。
しかし、銀行員や保険会社の担当者には、先にご紹介したような司法書士・弁護士・税理士・行政書士のような国家資格がありません。
相続に必要な手続きを行う時には、結果的に銀行や保険会社を通して司法書士などに依頼をすることになる場合がほとんどです。

そのため、銀行や保険会社の相続関連サービスは利用料金が非常に高額となるので、あまりおすすめはできません。

まとめ

相続の相談をするときは、必要な手続きによって最適な相手を選びましょう。

通常の相続:司法書士
裁判などを行う場合:弁護士
相続税が発生する場合:税理士

司法書士は遺産相続の手続きだけではなく、遺言の作成や執行も行うことができます。揉めている場合は弁護士に相談するのが良いでしょう。相続税の節税のためには、生前から税理士に相談しておくのが良いでしょう。
生前から、いつかやってくる遺産相続時のことを見越して相談しておくことで、より遺産相続がスムーズになります。