コラム

【家族信託は節税対策になる!?】相続税・贈与税で損をしないために知っておくべきこと

「家族信託って節税対策になるの?」このようなことを耳にしたことがある方、多いかと思います。しかしながら家族信託そのものが節税効果を持つわけではなく、あくまでも将来かかるであろう相続税贈与税を圧縮できる利用の仕方があるということです。

今回は、相続税・贈与税で損をしないために、具体的にはどのように家族信託を利用すれば相続税・贈与税を節税することができるのか、事例と共にお伝えしたいと思います。

家族信託をすると相続税や贈与税が節税できるの?

まず、結論から申し上げますと、家族信託を用いることによって直接的には相続税を節税することにはなりません。
あくまでも家族信託は相続対策として効果的であり、節税対策ではないことを理解しておく必要があります。
但し、家族信託を利用していたからこそ間接的に将来的な節税対策になるケースもあります。
なぜなら、家族信託を利用していた場合、委託者が認知症になったり、意思表示できない状態になったときでも、受託者の判断で財産を処分・運用・大規模修繕等することが出来るからです。
仮に家族信託を利用していなかったとすれば委託者の判断能力の低下により、節税対策としての処分・運用・大規模修繕等が制限されてしまうようなケースでも、家族信託を利用していれば受託者の判断で処分や運用が可能になりますので、結果として将来の相続税の納税額を圧縮する効果を出せることは多々見受けられます。

家族信託をすれば節税対策になるという安易な情報に惑わされないで!!

上記のように、家族信託を利用することで、結果として将来発生する相続税を軽減できたというケースは多々見受けられます。
しかし、専門職の方の中には、『複層型信託』(信託受益権を≪元本受益権≫と≪収益受益権≫に分解し、そこに暦年贈与を絡ませることによって、将来の相続税評価を圧倒的に縮小できるスキーム)を活用して節税をしましょうと言う方もいらっしゃいますし、家族信託を導入すれば、贈与する人の意思能力が低下・喪失しても、また、受贈者がもらっているという意思がなくても『暦年贈与』をたやすく有効に実行できるという言い方をしている専門職もいらっしゃいます。
しかし、前者は大きいリスクを伴いますし、後者にいたっては『暦年贈与』を否定される可能性が高いように思われます。
また、これは、節税の話とは異なりますが、家族信託を使えば、遺留分がなくなるという専門職の方もいらっしゃいます。

家族信託は非常に有用なツールではありますが、まだ新しい制度のため、情報が錯そうしている部分も大いにあると思われますので、家族信託に精通している専門家を選ぶ必要があると思います。